鉄道と旅 1970s
四国のSLを追って (2)徳島線/1969年7月26日 [徳島線]
 初日は何とか予定通りの写真が撮れましたが,二日目の徳島線はあまりうまくいきませんでした.遠征してSLを撮影に行くと,どうしても,1列車でも多く撮影機会を得ようと,かなり無理して移動する計画を立てるのですが,このことは,結局現地で撮影地をロケハンする時間が圧縮されることになります.この日はそういった感じの連続でした.

蔵本から徳島へ向かう424列車.C11 31.徳島線蔵本−佐古間.
▲蔵本から徳島へ向かう424列車.C11 31.徳島線蔵本−佐古間.
 鳴門ユースホステルを6:45に出発し,鳴門駅から735D列車で佐古駅に向かいました.佐古は高徳線から徳島線が分岐する駅です.佐古駅から隣の徳島線蔵本駅まで歩きながら,撮影地を探しました.というのは,実は8620型(通称ハチロク)の牽引する一部の列車が,牟岐線から徳島駅を越えて蔵本駅まで乗り入れているので,それを撮影するためです.

牟岐線から徳島線に乗り入れている522列車.78647.徳島線佐古−蔵本間.
▲牟岐線から徳島線に乗り入れている522列車.78647.徳島線佐古−蔵本間.
 蔵本駅では,折り返しの徳島駅方面に出発する78647号機の牽引する426列車を撮影しました.ほんの一部区間ですが,徳島線をハチロクが走っていたことになりますね.

522列車の折り返しの426列車,78647.徳島線蔵本駅.
▲522列車の折り返しの426列車,78647.徳島線蔵本駅.
522列車の折り返しの426列車,78647.徳島線蔵本駅.
▲522列車の折り返しの426列車,78647.徳島線蔵本駅.
 このあと,この列車に乗って徳島へ戻りました.こういう古い形式の蒸気機関車が引く列車に乗るのも,なかなかいいものです.次のねらいは徳島線を走る428列車です.これはC58が引いています.これを2度撮影するために,貞光まで401D急行よしの川1号と439D列車を乗り継いで,貞光駅に10:16に着きました.ここで,428列車を撮影し,10:40発の急行よしの川2号でこれを追い越し,穴吹駅でもう一度撮影しようという計画です.したがって,貞光駅ではわずか24分間しか時間がありません.でも結局これは無理な計画で,貞光駅ではいい撮影位置を見つけることができず,あれあれと思っている間に428列車は貞光駅を発車,結局線路のそばから通過していくC58 12を撮っただけでした.

貞光駅を発車し徳島方面へ向かう428列車.C58 12.
▲貞光駅を発車し徳島方面へ向かう428列車.C58 12.
 今思うと,なぜよしの川1号で一気に貞光まで行かなかったのか不思議ですね.昔の自分の考えていることはよく分かりません.さて,穴吹駅でも時間が少なかったし,この428列車に乗ることもあったので,駅でC58 12を撮影しました.そして,これに乗ってもう一度徳島駅に戻りました.当時は,撮影だけでなく,蒸気列車に乗ることも楽しみだったのですね.

428列車,C58 12.穴吹駅にて.
▲428列車,C58 12.穴吹駅にて.
 428列車で徳島へ戻ってから少し時間があったので,徳島の操車場をのぞいてみました.そこでは,ハチロクが入れ換え作業をやっていました.他にC58もいました.このハチロクの入れ換え作業もなかなかおもしろかったのですが,時間がなかったので後日来ることを心に決めて,505D急行阿波5号で板野駅まで貨物列車を見に行くことにしました.

徳島線の428列車.牽引するC58 12.
▲徳島線の428列車.牽引するC58 12.
入れ換え作業をする78680,徳島操車場.
▲入れ換え作業をする78680,徳島操車場.
 板野駅では,貨物386列車と387列車が行き違います.先に入った387列車はC58 121が牽引するもので,駅で写真を撮ってから,駅から少し離れて撮影ポイントを探し,386列車の出発を撮ることにしました.

板野駅に入線する386列車.C58 110.
▲板野駅に入線する386列車.C58 110.
板野駅に止まる387列車,C58 121.
▲板野駅に止まる387列車,C58 121.
板野駅を出発する386列車.C58 110.腕木信号が懐かしい.
▲板野駅を出発する386列車.C58 110.腕木信号が懐かしい.
 板野駅の貨物2列車を見送ると,今度はまた507D急行むろと4号で徳島駅に引き返します.昨日地蔵橋駅で撮ったハチロクの引く521列車を見送るためです.私がこの列車の発車音を録音しようとテープレコーダーを構えていると,機関士さんが声をかけてくれて,指差喚呼の声を録音させてくれました.今でも不思議とはっきり覚えているのですが,

「通票二軒屋サンカク,はい,サンカクよーし」

という声です.サンカク(△)というのは,タブレット(通行票)に付いている信号の形です.通行票は単線区間では普通に使われているものでした.この場合徳島駅と次の二軒屋駅の間は単線ですから,間違って両駅から同時に列車がこの区間に進入しないように,徳島駅と二軒屋駅の間の通行票の形を△と決め,この△の通行票を持った列車だけが,この間を通行できるというふうに決めておくのです.そうすると△通行票は1つしかありませんから,この単線区間を走る列車も1列車だけということになります.(注:二軒屋駅ではなく地蔵橋駅までがこの通行票の閉塞区間だったかもしれません).

 この録音したテープはあるのですが,オープンリ−ルの再生機がないので,お聞かせすることができません.

指差喚呼を録音させてくれた521列車,78647.徳島駅.
▲指差喚呼を録音させてくれた521列車,78647.徳島駅.
 今日は一日よく走り回りました.でも写真は駅で止まっているものばかりになりました.また夏の暑さの中,昨日からずっと続けて外に出ていることもあり,結構疲れました.やはり,動きすぎはよくない,ましな写真を撮るには一ヶ所でゆっくりとするのがいいと感じた次第です.帰りながらすれ違うC58を撮影しながら,明日は休んで体力回復,そして明後日は大坂峠へ行こうと思いました.

帰りながらすれ違った列車.左:322レ,C58 155,中:C58 351,右:382レ,C58 295.
▲帰りながらすれ違った列車.左:322レ,C58 155,中:C58 351,右:382レ,C58 295.